神生み 5:山の神と野の神の結婚

伊邪那岐神(いざなきのかみ)と伊邪那美神(いざなみのかみ)が生んだ大地の神、大山津見神(おほやまつみ)と野椎神(のづち)も夫婦になって、山と野に関わる神を生みました。

最初は土地についての神様が生まれました。
山頂についての土地の神である天之狭土神(あめのさづちのかみ)と、地上に出来た土地の神である国之狭土神(くにのさづちのかみ)です。

さらに、霧についての神様が生まれました。
山頂に出来る霧の神である天之狭霧神(あめのさぎりのかみ)と、地上に出来る霧の神である国之狭霧神(くにのさぎりのかみ)です。

火山国日本は多くの山々を抱き、それらに密接した生活を送る古代日本人にとって、山の状況を読むことも生活に必要な技だったのでしょう。

大地も霧も、山頂と山麓では質が違います。
質の違いに異なる神を見る、日本人ならではの繊細な感性が伺えます。

続いて、山頂にほど近いところにある渓谷の神で、天之暗戸神(あめのくらとのかみ)が生れました。
さらに、地上にほど近いところにある狭谷の神で、国之闇戸神(くにのくらとのかみ)が生まれました。

道に迷わせる神様の、大戸惑子神(おほとまといこのかみ)と大戸惑女神(おほとまといめのかみ)が生れました。

現代でも山から谷に抜ける中、道を見失って帰って来られず遭難してしまう者がいます。
ましてや街灯などない古代においては、もっと沢山の遭難者が出ていたのではないかと思われますj。
そんな風に道を見誤り、迷ってしまうのも、神の業だと古代の人々は考えたのでしょう。

山は恵みを与えてくれる場所でもあり、また命を落とす危険な場所でもありました。
そんな山は神が鎮まる場所であり、神は慈しみを与えてくれる存在であると同時に、怒り祟る存在でした。
そんな自然への信仰心が、神様誕生の経緯にひっそりと潜んでいるのです。

天之狭土神から大戸惑女神まで、合わせて8柱の神です。
この8柱の神も、伊邪那岐神と伊邪那美神の孫にあたります。

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