黄泉国で夫婦喧嘩 1:伊邪那岐神、黄泉国来訪

妻の伊邪那美神(いざなみのかみ)とまた逢いたい伊邪那岐神(いざなきのかみ)は、とうとう黄泉の国まで追いかけ訪れます。

黄泉の国の殿舎の塞がれた戸を開いて、その中にいるのであろう伊邪那美神に向かって
「愛しい私の妻、一緒に作った国はまだ作り終えてない。だから、一緒に帰ろう。」
と呼びかけました。

呼びかける伊邪那岐神の声に応じて、伊邪那美神は扉近くまでやってきます。
殿舎の中は真っ暗で、お互い顔を見ることが出来ません。
それでも2柱は、気配だけではありますが再会を果たします。

伊邪那美神は伊邪那岐神に答えて、
「ああ、悔しい。なぜもっと早く来てくれなかったのです。私は黄泉の国の甕で煮たものを食べてしまいました。もう元の世界に戻れません。でもせっかく愛しい貴方がこうして来て下ったのですから、どうしても帰りたいと思うのです・・・。それではしばらくの間、黄泉神(よもつがみ)と相談して参ります。その間、私を見ないで下さいね。」
と言って、殿舎の奥へと戻って行ってしまいました。

伊邪那岐神はずっとその場で、待ちに待ち続けました。
一向に戻ってこないので伊邪那岐神はしびれを切らし、殿舎の中へと踏み込みます。

殿舎の中が闇に満たされているので、何も見えません。
それで伊邪那岐神は結った左の髪の刺していた湯津津間櫛(ゆつつまぐし)という神聖な櫛の両端にある太い歯をひとつ折って、それを燃して火を灯しました。

すると闇の中に浮かび上がったのは、変わり果てた姿の伊邪那美神の姿でした。

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