三貴子出現 5:禊より出現する海路の神々 後編

八十禍津日神(やそまがつひのかみ)と大禍津日神(おおまがつひのかみ)という、あまりに恐ろしい神様が出来てしまったので、その禍(わざわい)を直すための神様も出現しました。
それが神直毘神(かむなおびのかみ)、大直毘神(おおなびのかみ)、伊豆能売(いづのめ)の3柱です。

神直毘神は、曲がったことを正しく直すことの神様です。
大直毘神は、正しく直すことの偉大な神様です。

伊豆能売神は、厳粛で清浄な女性、という意味です。
名前に「神」がつかないので、神様ではないのですね。

この伊豆能売は、巫女の起源となる存在、といわれています。
禊祓は、とてもかしこまって厳かな神事です。
そのため、このような神事を行うにあたり補佐をする存在が必要となったので出現したのでしょう。

伊耶那岐神(いざなみのかみ)はさらに念入りに、川底、川中、水面と3か所で、体をすすぎました。
3か所それぞれで2柱ずつ、次の通り神様が生まれました。

 川底
 底津綿津見神(そこつわたつみのかみ)と底筒之男命(そこつつのおのみこと)

 川中
 中津綿津見神(なかつわたつみのかみ)と中筒之男命(なかつつのおのみこと)

 水面
 上津綿津見神(うえつわたつみのかみ)と上筒之男命(うわつつのおのみこと)

この3柱の綿津見神は、海の神様です。
これらの綿津見神は、阿曇連(あづみのむらじ)と呼ばれる氏族の祖神です。

「阿曇」が氏族名です。
阿曇の意味は、海人つ霊(あまつみ)とも、網つ霊(あまつみ)ともいわれていて、定まっていません。
ですが、海に関わる一族であることは確かです。

綿津見神の子供で宇都志日金拆命(うつしひかなさくのみこと)という神様が、阿曇連一族を築きました。
日本神話では神々がやがて人になっていったので、日本国民の誰もが何らかの神々の子孫といえるかもしれません。

3柱の筒之男命は、何を神格化した神様なのか諸説ありますが、船の筒柱の神様ではないかといわれています。
この3柱は大阪市住吉区の住吉大社三座に、今も住吉大神(すみよしのおおかみ)として祀られています。

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