三貴子出現 2:禊より出現する陸路の神々 前編

伊邪那岐神(いざなぎのかみ)が禊祓(みそぎはらえ)をして、出現した神様は次の通りです。

 御杖:衝立船戸神(つきたつふなとのかみ)
 御帯:道之長乳歯神(みちのながちはのかみ)
 御袋(みふくろ):時量師神(ときはからしのかみ)
 御衣(みけし):和豆良比能宇斯能神(わづらいのうしのかみ)
 御袴(みはかま):道俣神(みちまたのかみ)
 御冠(みかがふり):飽咋之宇斯能神(あきぐいのうしのかみ)
 左の御手の手巻(たまき):奧疎神(おきざかるのかみ)、奧津那芸佐毘古神(おきつなぎさびこのかみ)、奧津甲斐弁羅神(おきつかいべらのかみ)
 右の御手の手巻(たまき):辺疎神(へざかるのかみ)、辺津那芸佐毘古神(へつなぎさびこのかみ)、辺津甲斐弁羅神(へつかいべらのかみ)

これら12柱の神様は、陸路と海路に関わる神様です。

黄泉比良坂を走り抜けて逃げ出した伊邪那岐神は、文字通り伊邪那美神と道を分かつことになりました。
それだけでなく、黄泉比良坂を千引の岩を建てることで道を塞ぎ、悪いものが現世に来ないようにせき止めたのでした。

この千引の岩は、道祖神(どうそしん)の起源となる神様です。
道祖神とは、村と村の境目や辻、三叉路などに石碑や石像として祀られている神様で、道を塞いで悪しきものを通さないよう守って下さる神様です。

このような千引の岩を皮切りに、道や境界に関わる神様が沢山出現します。
それは、それだけ黄泉の国と現世を塞いだことが大変重大な事件だった、ということなのでしょう。

出現した神々を、順次紹介いたします。

まずは、陸路に関わる神です。

杖から出現した衝立船戸神(つきたつふなとのかみ)は、杖が突き立っている道の曲がり角にいる神様です。
古来、杖や剣などを地面に突き立てることで、その土地が自分のものであることを示しました。
地面に突き立った杖があることで、そこは私的な土地となったのです。

これから禊祓をするにあたり、プライベート空間を守る神が出現したのでしょう。
と同時に、突き立った杖は道しるべにもなったので、道しるべの神であるともいわれています。

帯から出現した道之長乳歯神(みちのながちはのかみ)は、長く続く道に立つ岩の神様です。
「歯」とは、岩を意味します。
帯が長いから、長い道の神様が生まれたのでしょう。

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