伊邪那岐命と伊邪那美命 1:プロポーズ

天の神々は下にある海を指して、伊邪那岐神(いざなきのかみ)伊邪那美神(いざなみのかみ)に
「漂っている地をまとめて、ひとつの大地として固めなさい」
と言って、きれいな玉で飾られた天沼矛(あまのぬぼこ)を渡しました。

伊邪那岐神と伊邪那美神は、天空に浮いてかかっている天浮橋(あまのうきはし)に降り立ちました。
そうして一緒に天沼矛を持って海に差し入れて、海水を「こおろこおろ」と鳴らしながら掻きまわして、矛をそっと引きあげました。

矛の突先からぽたりぽたりと海水が滴り落ちて、その海水の塩が積み重なって固まり、島が出来上がりました。

この島を、淤能碁呂島(おのごろじま)といいます。
淤能碁呂島は自然に出来上がった島、という意味です。

古事記には実在の地名が沢山出てきますが、淤能碁呂島についてはどの島がそうなのか、今でも正確なところはまだ分かっておりません。

伊邪那岐神と伊邪那美神は淤能碁呂島に降り立って、そこに天之御柱(あめのみはしら)と呼ばれる大きな柱と八尋殿(やひろどの)と呼ばれる大きな神殿を建てました。

そうして伊邪那岐神は伊邪那美神に、
「貴女の身体は、どうなっていますか?」
と尋ねました。

伊邪那美神は
「ちゃんとしてはいますが、一箇所だけ窪んだところがあります。」
と答えました。

それを聞いて伊邪那岐神は
「私の身体もちゃんとしてはいるけれど、一箇所だけ出っ張っているところがあります。」
と言いました。

続けて
「私はこの出っ張っているところを貴女の窪んでいるところに差し入れて蓋をして、国を作ろうと思っています。どうでしょうか?」
と尋ねました。

伊邪那美神は
「そうしましょう。」
と答えました。

伊邪那岐神は
「じゃあこの天之御柱の周りをお互い別々の方向から回っていって、会ったところで結婚しましょう。」
と言いました。

こうして伊邪那岐神と伊邪那美神は結婚することが決まり、そのための儀式にとりかかったのです。

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